総務常任委員会視察2日目の今日は目黒区にて「公契約条約」(目黒区の公契約条例はこちら)について教えていただきました。公契約条例は、公共工事や委託事業の契約の際の手続きや履行についての基本的な方針等を定めるものです。労働者等の適正な労働条件を確保し、それによって、企業が優れた人材を確保できる環境の整備と公契約の適正な履行の確保を図るものです。この条例によって区民サービスの向上及び地域経済の活性化に寄与することを目的としているそうです。
これは例えば5000万円以上の役所の仕事を受ける際に、労働者の最低賃金を条例で定めた金額以上にしなければならない(都の最低賃金より高い)という決まりを作ることで、企業が仕事を取るために労働者を安く働かせることを防ぐ、といった感じです。これには当然ですが、区役所がその増加する分の人件費を盛り込んだ事業予算をしっかり計上することが求められます。また、企業には契約を履行しているかを確認するために労働台帳の提出が求められます。そして労働者は、自分の労働が条例に沿っているのかを区に確認することができます。その分事務手続きは多くなりますが(そういった負担に耐えられる規模の会社を対象とするために工事であればの発注金額5000万円以上と定めています)適正な賃金で仕事が受けられるようになることで、企業としては人材の確保につながります。
とはいえ、最低限としての条件であり、あくまでも労働条件の底上げの役割に留まるため、現状から大きく労働者の賃金が上昇するかというと、そうではありません。高い人はそのまま、低すぎる人の賃金底上げ、というイメージが実際に近いかもしれません。
現在那覇市でも公契約条例案をまとめる作業が大詰めです(骨子案はこちら)が、その那覇の条例と目黒区の条例が大きく違う点は、那覇市は理念型の条例なのに対して、目黒区は規制型の条例であることです。規制型ですから、再三の是正に応じない場合には契約の解除や損害賠償が発生することなども盛り込まれています。(現在のところは契約解除に至った事例はないそうです。)
那覇市の公契約条例をどうするのか、ちょうど11月29日まで市民からの意見を募集しています(募集ページのリンクはこちら)ので、この機会に市の案をご覧いただき、ご意見をお寄せいただければと思います。罰則を伴わない理念型で、どこまで実効性があるものにできるのか。経営者団体や労働団体の代表者とも話し合いをしているそうですが、もう少し踏み込んだものにするべきではないか。この先の展望も含めて議論をして、いい条例ができるように私も頑張ります。