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那覇市公共交通シンポジウム

28日は那覇市主催の「那覇市公共交通シンポジウム」がありました。

第1部の基調講演では
東京大学大学院教授の原田昇氏より〔公共交通から支える〝まちづくり〞〕をテーマにした講演と、
ビジネスコンサルタント・日仏異文化研修講師のヴァンソン藤井由実氏による〔公共交通で新たなライフスタイルの提言~フランスの事例を参考として~〕の講演がありました。

原田氏の講演の中では、まちづくりを考える際に、交通をしっかり絡めて考えなければならないということが強調されていました。この点は3月に行った円卓会議でも指摘されていましたが、過密な渋滞を招いている那覇のまちづくりを考えた時に、行政の縦割りの施策をそれぞれに行うだけでなく、それらをつなぐ交通を考えて、移動が保証された街になっているか?移動の選択肢が提供されているのか?などを考えなければなりません。
安価に移動ができる「お出かけしやすい街」では、高齢者が社会とのつながりを保ちやすく、元気な方が多い、というお話が紹介されていましたが、このように公共交通を運賃収入の黒字・赤字だけで考えるのではなく、また、交通を道路の部局だけで考えるのではなく、福祉的な視点、観光の視点、教育の視点などからも検証し、総合的に市民福祉の向上につながるインフラとして公共交通を考えなければなりません。

ヴァンソン氏の講演の中では、フランスのLRT(ライト・レール・トランジスト 次世代型路面電車)の話を軸に道路空間の再配分の話から始まり、車に占有される空間を、人に取り戻すことで豊かな生活、独自の文化を残したまちになる、というような提言がなされました。車がないと不便な地域もあることは確かだが、その受け入れ量には物理的な限界があり、様々な移動手段を組み合わせながら暮らせるまちをつくることが大事だというお話でした。MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)〔ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である*国土交通政策研究所の説明より〕のニュースが度々話題になりますが、LRTに限らず、既存の公共交通機関も含めて連携して利用しやすい環境を整えることが必要です。また、ライフステージに合わせて移動手段が選択できるような都市を目指すことが、誰もが移動しやすいまち なは を目指すうえで必要な視点です。また時間の関係上、今回は成功事例を紹介したが、失敗もたくさんあるのでしっかり取り組んでほしい、というお話は肝に銘じなければいけません。

第2部ではパネルディスカッションが行われました。基調講演で登壇した原田氏をコーディネーターに、パネリストにヴァンソン藤井由実氏、沖縄大学理事長佐喜真實氏、俳優・タレントのジリ・ヴァンソン氏、那覇市長城間幹子氏が登壇し、意見を交わしました。
議論の方向性としては、LRTの導入により、那覇はもっと住みやすくなる。ということで、めいっぱい期待を込めたお話が続き、それに応える形で市長も「導入の方向で検討していることは名言できる」と改めて決意を示しました。
夢のあるお話で良かったのですが、それと同時に、長期的なLRTの導入を考えながら、基調講演の中でご指摘があったように、既存のバスなどの公共交通のバージョンアップも同時に取り組まなければなりません。市民、交通事業者も交えて市民福祉の向上につながる公共交通の再構築を、地に足付けて取り組まなければなりません。時間がかかることですが、これをやらなければ、例えLRTをつくっても、誰もが移動しやすいまちにはなりません。今回のシンポジウムを受けての那覇市の取り組みに期待しています。組織横断的に公共交通について検討していきましょう!

そして今日はラジオの収録で、バスマップ沖縄の谷田貝さんとバスに詳しい ずけらんさん をお招きしまして、このシンポジウムの話もしましたよ。放送は11月になるのですが、お聴きいただければ幸いです。

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