質問内容
1 人権を尊重したまちづくりについて
2 子どもの貧困対策事業について
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議事録
令和 01年(2019年) 9月定例会-09月10日-04号
グスーヨー チューウガナビラ(皆さん、こんにちは)。無所属の会、中村圭介でございます。
昨日、子どもの貧困対策事業についてお伺いしましたけれども、きょうはまたそのテーマに加えて人権を尊重したまちづくりについて、この2点をお伺いしていきたいと思います。
1.人権を尊重したまちづくりについてであります。
(1)ブラックバイト、児童虐待、いじめ、合理性に乏しい校則など、子どもの権利を取り巻く問題が多く取りざたされております。また、教育機会確保法など学校のあり方についても変化が求められております。
子どもの権利条約の理念に基づいた条例の制定が必要ではないか。見解をお伺いします。
お答えいたします。
子どもの権利をうたった条例の制定につきましては、子どもの生きる権利等の基本的人権を保障する、子どもの権利条約の理念等に基づき、憲章的な位置づけで制定されている自治体がございます。
本市においては、平成10年に県内において先駆的に取り組んだ、「子どもの街宣言」を行っておりますが、生きる、育つ、守られる、参加するといったこどもの権利を守るという理念は、子どもの街宣言の土台となっており、現在においてもその普遍的な意義は変わらないものと考えております。
本市としては、条例と同様の憲章的な意義を持つ「子どもの街宣言」の周知や意識付け等を進めることが重要だと考えておりますが、条例の制定についても他市の事例等を研究してまいりたいと考えております。
おおむねこれまでと変わらない答弁だったなというふうに思うんですけれども、もう少し踏み込んで次の質問にまいりたいと思います。
(2)子どもの権利に関する行動計画を策定してはいかがでしょうか。当局の見解をお伺いします。
子どもの権利に関する行動計画につきましては、子どもの権利条例の規定に基づき、策定した自治体があることは承知しております。
その内容としましては、基本目標や、計画期間に加え、リーフレットの作成などの意識向上や子ども議会の実施といったこどもの意見の尊重などの基本的な施策が盛り込まれております。
また、行政の各種計画としては、法令や条例によらずに策定することもあり、本市としては、そのようなことも含めて、他市の事例を研究してまいりたいと考えております。
ありがとうございます。
ここで、これまでの答弁を少し確認しておきたいんですけれども、平成28年6月の段階では調査をしていきたいということ、そして30年12月、私の質問に対しては、庁内推進会議で情報共有を図っているところであるということ、そして先の6月定例会、多和田栄子議員の質問に対しては、子どもの街宣言がありますので、その周知をまずはしていきたいというお話、そして今定例会、坂井議員の質問、または今の答弁の中では、子どもの街宣言を周知しながら並行して他市の事例等も研究していきたいというところでありました。
そこで注目したいのが、この理念的な条例であれば子どもの街宣言と重複しているところもあるので、まずは子どもの街宣言ということでありましたけれども、ずっと求めていることは、この理念的な条例ということではなくて、(2)のほうでも行動計画を策定してはどうかと提案しましたけれども、子どもの権利が保障されたまちづくり、子どもの権利がしっかりと保障されたまちをどうやってつくっていくのかという、そのために必要な条例をつくるべきではないかということになるんですね。
ですので、子どもの街宣言がある。それはつくられたのが平成10年ですよね。そして今は21年目を迎えておりまして、21年目に何をするのかというと、周知や意識づけを図っていきたいということなんです。というのは、歩みとしては、私はかなり遅いんじゃないかなというふうに思っています。今改めて子どもの街宣言を周知していくのではなくて、このタイミングだからこそ、改めて子どもの権利条例という枠組みでしっかりと考えていく必要があるのではないかと思っております。
それを条例をつくる中で、この行動計画ですとか、いつまでに誰が何をしていくのかということが盛り込むことができれば、実現のスピードも速まっていくと思いますし、子どもの権利が保障されたまちが近づいてくるのではないかなと思うわけです。
那覇市では教育振興基本計画とか子どもの教育に関する計画もありますけれども、これは教育のさらなる発展を目指すためにつくられる計画であったりしますので、子どもの権利が守られるまちを目指していくという計画なり、その計画をつくるために必要な条例なりというものの検討をぜひしていかなければいけないと思うわけです。
なので、改めて憲章的な意味づけの条例ではなくて、もう少し実効性を伴った条例の制定を目指して研究をしていく、または検討していくべきではないかと思いますので、担当の部長にまた見解をお伺いしたいと思います。
子どもの権利も守る条例を含めて、行動計画につきましては、先の代表質問のほうでもご答弁差し上げておりますが、市長からも具体的な事例も含めて調査研究をしていくというお話もございました。理念的な部分、プラスそういう具体的な部分まで盛り込んだ条例があることも承知しておりますので、それを具体的に調査していこうと思っております。
その中で行動計画についてもどんな行動ができるのか、条例によらず実施するのか、その辺も含めてトータル的に多角的に検討してまいりたいと考えております。
ありがとうございます。だいぶ前向きな雰囲気が伝わってきたかなと思うんですけれども、少し確認をしておきたいのが、昨日の代表質問の中で、調査研究していきたいといって2年半なかなか進まなかったということも経験しておりますので、改めてどこで調査研究をしていくのか、誰が検討していくのかということもあわせて答弁をお願いします。
子どもの貧困対策を含めて、子ども政策につきましては、こどもみらい部のほうで所管しております。こどもみらい部を中心に関係部局にお声かけをして、庁内推進会議のもとに部会を設置するなど、そういった方法を使って検討してまいりたいと考えております。
ぜひ、よろしくお願いします。庁内推進会議はなかなか年に数回しか開かれていないという印象がありますので、決めるべき場所に向けてしっかり調査研究していただいて、そこに提案するなりして、一歩一歩確実に進めていっていただきたいというふうに要望いたします。
次の質問にまいります。
2.子どもの貧困対策事業についてであります。
昨日の市の独自の計画を策定してはどうかという話ともつながるところでありますけれども、子どもの貧困対策事業、さまざまな事業を同時並行でいろいろやっておりまして、名前だけではなかなかわかりにくい事業もありましたので、ここで少し確認をしておきたいと思います。
(1)寄添支援員についてであります。
①活動実績と課題をお伺いいたします。
お答えいたします。
教育相談課においては、子ども寄添支援員を市内各中学校区に配置しており、貧困状態が子どもの生活と成長に与えるさまざまな課題に対応するため、教育分野に関する知識に加え、社会福祉等の専門的な知識技術を用いて、児童生徒の置かれたさまざまな環境に働きかけて支援を行っております。
平成30年度の実績としましては、支援世帯は407世帯、支援人数は640人となっております。また、自立支援教室等の居場所につないだ人数は128人となっており、就学援助等の制度へつないだ人数は232人となっております。
課題としましては、支援員は、さまざまな生活課題に対して支援を行う専門職であり、困難なケースに係ることも少なくないことから、支援体制のさらなる充実を図ることが重要であると考えております。
対象者がとても広い業務だと思いますので、さらなる拡充をしていただきたいと思います。
次に寄添支援員さんが活動する現場となる②学校側からの支援員さんの受け入れ、連携の取り組みをお伺いいたします。
お答えいたします。
学校側からの取り組みとしましては、管理職や関係職員との定期的な情報交換に加え、年度初めに行われる全体集会での紹介や、職員朝会、学校だより等を活用し、学校全体で支援員の活動への理解が図られるよう工夫いただいております。
ありがとうございます。
では、(1)の③さまざまな連携している団体等につないでいくと思うんですけれども、そのつなぐ先との連携の取り組みをお伺いいたします。
お答えします。
つなぐ先の支援団体との連携につきましては、民生委員・児童委員に対して業務説明を行ったほか、新たな支援先については、必要に応じて施設を訪問し、支援先の業務内容の確認等を行っております。また、子ども寄添支援員全体で、支援先の情報を共有することで、連携が広がるよう努めております。
ここでもそれぞれの団体、受け入れ先の機能の面での使い分けもあるかと思うんですけれども、人と人とのつながり、その関係があってはじめてつながるものだと思いますので、そういった連携はしっかりととっていただきたいと思います。
次に、(2)子育て世帯自立支援員の活動実績と総括をお伺いいたします。
お答えいたします。
こどもみらい部においては、子育て応援課子育て支援室に平成28年度から子育て世帯自立支援員を1人配置し、主に就学前児童が属する生活困窮世帯のうち、支援の必要性の高い世帯へ集中的に対応を行いました。
その内容といたしましては、対象とする世帯に対し病院受診や公的サービス申請手続きに同行するなどのきめ細やかな支援を行い、市町村役場、児童相談所、弁護士等の関係機関につなぐ等をいたしました。
事業実績といたしましては、平成28年度11世帯、児童24人、29年度24世帯、児童45人、30年度は年間を通して雇用できなかった関係もあり9世帯、児童14人という実績となっております。子育て世帯自立支援員の配置は、子どもを産んで間もない時期において、保護者に対してきめ細かな支援を行うことで、行政や周りの人に相談できる力をつけることにつながり、貧困対策だけでなく児童虐待予防にも効果があったものと考えております。
平成30年度で本事業は終了し、今年度からは新たに設置した子ども家庭総合支援拠点事業に引き継がれておりますが、本事業で培った保護者と子どもに寄り添いながら支援を行うという視点を大切に、子育て支援・虐待予防、ひいては家庭の自立に向け、引き続き支援に取り組んでいるところでございます。
これまでなかなか届かなかったところに対しての支援がこの子どもの貧困対策事業を通してできるようになってきたということ、そしてそれらも経験を生かして新たな場所が設置されたということで、この事業自体は終了しているということですけれども、その中身については引き継がれているということで承知いたしました。
では、(3)児童(子ども)自立支援員についてであります。
①活動実績と課題をお伺いいたします。
お答えいたします。
保護管理課では、平成22年度より児童自立支援員を配置し、主に生活保護世帯の中学生に対して1人1人の実態や課題を把握し、学習支援や引きこもり・不登校支援など、さまざまな課題を抱えている子どもたちに寄り添い、関係機関と連携しながら支援を行っております。
平成28年度からは支援員を増員し、計13人の体制で小学生から高校生まで支援対象を広げて支援を行っております。平成30年度の活動実績としましては、自宅訪問677回、学校訪問512回、その他訪問先を含め合計1,599回、月平均133回訪問を行いました。また、自宅への電話1,580回、学校への電話718回、その他関係機関への電話を含め合計3,394回、月平均283回の支援を行いました。支援の結果、平成22年度の高校進学率は81.0%だったものから平成30年度には95.3%と約14ポイント上昇しています。
これまでの実績から学校との相互理解や関係性も深くなっておりますが、発達障がいなどの特性を抱えている子どもたちや、性非行などに巻き込まれている子どもたちへの支援を行う際には、保護者も含めたより繊細かつ高度な支援が求められるため、対応が難しいこともあります。
そのため、沖縄大学へ支援員の研修を委託しており、難しい事例に対応できるように専門家による講座や事例検討会の開催など、日々支援員のスキルの向上を図りながら、より良い支援を行うべく、子どもたちの将来のために取り組んでおります。
ありがとうございます。
それでは(1)と同様に、②つなぐ先の支援団体との連携の取り組みをお伺いいたします。
お答えします。
保護管理課では、無料の学習支援塾である「居場所型学習支援事業」や不登校等の子どもたちを対象とした「包括的自立促進支援事業」を委託により実施しており、居場所のスタッフと支援員が週1回、担当者会議を開催し、活動状況や気になる子どもたちの様子について情報共有を行っております。さらに、必要に応じてケースワーカーや学校、児童相談所などの関係機関と連携して役割分担を図りながら、保護者も含めた包括的かつ継続的な支援を行っております。
また定期的に報告会を開催し、課内で活動内容等を共有することで、支援員だけではなく、組織として連携を図りながら、より丁寧な支援を行うための環境を整えております。
ありがとうございました。
今、(1)から(3)まで○○支援員という名前だけではなかなかわかりにくいところもあったんですけれども、こうして活動の実績等々を聞いていきますと、従来の仕組みでは届かなかった部分に子どもの貧困対策事業ということで支援員を配置したところ、さまざまな部署からさまざまな事業が上がってきて、それぞれが成果を上げてきたわけですね。
そうした子どもの貧困対策事業が成果を上げているとは思うんですが、これが目標に届いているかどうかを判断するためには、やはり市の計画が必要かなというふうに思っております。また、こうした事業があるよということがどこまで周知されているのかというと、もう少し公にしっかりと、(2)なんかも特に、もう既に終了している事業もありますので、こうしたことも公に周知を図るべきだったのではないかなと思っております。
子どもの貧困対策事業の大きな舞台といいますか、多くの子どもたちと接する場として学校がありまして、学校のプラットフォーム化が目指されていたかと思いますので、その進捗について聞きたいと思います。
(4)学校のプラットフォーム化の進捗と課題について、学校を所管する教育長の見解をお伺いいたします。
お答えいたします。
本市では、第5次総合計画において学校を地域の人々や団体等をつなぐ場、子育て・健康・福祉サービスを行う場等のコミュニティの拠点、プラットフォームとして位置づけております。子どもの貧困対策もその1つとして取り組んでおります。
進捗状況については、学校をプラットフォームとして、子ども寄添支援員や児童自立支援員が教職員や関係機関と連携してそれぞれの子どもに合った支援を行い、居場所事業へつなぐことで大きな成果を上げております。
課題については、他の関係機関との円滑な連携や施設の管理者である学校長の理解と協力が挙げられます。あわせて学校に過重な負担とならないような役割と責任の範囲を明確にし、協力体制を築くことが大切でございます。
教育委員会といたしましては、学校のプラットフォーム化に向けて今後も学校長の理解、協力を依頼し、チーム学校として児童生徒の貧困問題の対策に取り組んでまいります。
ありがとうございます。
今の答弁の中で、取り組みを進めていくことはもちろん大事なんですが、特につなぐという点を強調されていた答弁だったのではないかなと思うんですが、つなぐ前に、その前提として学校がプラットフォームでなければならないということをしっかりと意識していただきたいと思っております。それは当たり前のようでいて、今の学校の体制では難しい、先生もとても忙しい中で、子どもたちが学校が自分の居場所だと感じられる場所になっているかどうかを、それがなければプラットフォームとして機能できるかというと、なかなかそれは難しいのではないかなと思うわけです。
全ての子どもたちが学校に通って楽しく過ごしている中で、困ったことがあったときに相談ができるというのがプラットフォームが機能している状態なのかなと思うんですけれども、もちろん学校に行けなくなってしまった子どもたちもいるわけで、そういった子たちが、学校が自分たちの居場所だということをしっかりと実感できる学校をつくれるかどうかがこの学校のプラットフォーム化にとっては必要最低限、整えなければいけないことなのではないかなと思っております。
そこで紹介したいのが、「不登校の不登校による不登校のためのラジオ番組、アシタネカフェ」というラジオ番組がありまして、これは那覇市が委託しております事業所の「Kukulu」の通っている子どもたちが不登校経験者のパーソナリティが放送するラジオ番組で、FMなはで放送しておりますけれども、月1回の放送で、これは8月の放送だけでもぜひ聞いていただきたいんですけれども、そこでは当事者が自分たちの経験を語ったり、自分たちと同じような境遇に置かれている子どもたちに向けたメッセージも発信しております。
自分たちが学びたかったこととかも発信しておりまして、ちょっと紹介したいんですけれども、学校での対応が個人の気持ちをもう少しくみ取ってほしかったなと、不登校という言葉でくくってしまうのではなくて、人それぞれの個人にもっと向き合ってほしかったという意見であったり、学校に行けなかっただけで、学びたくなかったわけではなかったんだよという意見、そしてまた、先生たちが教室に行くという先生にとってのゴールを迫られているような感じがして、とても緊張してしまったというようなお話であったり、からがらやっとおうちから出て教室に行ったら、先生が教室に来たからもう大丈夫だねという言葉をかけられたんだけれども、自分は何が大丈夫なのか全然理解できなかったと、やっとの気持ちで教室に行けた、そこからまだまだたくさんやらないといけないことがあるのに、それで大丈夫と言われてもというような声もありました。
こうした当事者の声を聞くと、学校のプラットフォーム化も今の学校プラスアルファでさまざまな支援員だったりという外からの事業を整えていくだけではなく、学校そのものをプラットフォームとしてしっかりと整備していくという必要があろうかと思います。そのためには教員が多忙すぎるのがすごく大きな壁になるのかなと思いますので、そこをどう乗り越えるかということは、市長部局も一緒になって考えていただきたいと思います。
また、子どもの権利条例につきましても、子ども本人、子ども自身の声も聞く機会を設けて、市民団体含め、市民からもしっかりと意見を聞きながら、那覇市が今後、子どもの権利についてどう考えていくのかということ、3年後、5年後、どうなっていきたいんだということなども含めて考えていただきたいと思います。
そういう形で子どもの権利が尊重されるまちになったらいいなと思いますし、そうしたところで行われる子どもの貧困対策事業であってほしいなと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
私の一般質問を終わります。ありがとうございました。