教育福祉常任委員会の視察2日目は東京都文京区と荒川区を視察しました。
午前中は文京区の文京区教育センターと併設の青少年プラザ(b-lab)ビーラボを見せていただきました。
文京区教育センターは 総合相談室 お子さん(0~18歳)の発達や教育に関する悩みや心配について、様々な専門職による相談、支援を行っています。また、学校、幼稚園、保育園等との連携や巡回相談も実施しています。
ふれあい教室 おもに不登校状態にある児童・生徒の学校復帰を支援するとともに、社会的自立を促すことを目的とした相談・適応指導・学習支援を行っています。
児童発達支援センター 集団教育を通じ、心身の発達の促進及び社会スキルの向上を図ることを目的に、児童発達支援(未就学児)や放課後等デイサービスなどの事業を実施しています。
といった支援施設を持っており、そのほかに区内に多数の大学がある利点を生かして自然科学教室したり、プログラミング講座などのパソコン教室も開催しています。
また、教員向けの研修にも利用されています。
今回は、教育センターの総合相談事業の取組みの中で 校内居場所(別室)対応指導についてお話を伺いました。
名前の通り、学校の中に「居場所」があります。この居場所は学校に行くのが難しい状態の児童生徒が行ける場所であり、それを学校の中に整備したものです。 令和5年度からモデル事業として始まり、小学校、中学校それぞれ6校の計12校で実施されているそうです。
学校内の空き教室や特別教室等の一角を利用しているそうですが、パーテーションやソファ等を工夫して配置し、学校とは違う空間を作るように心がけているそうです。
学校に行けない子どもがどんなことで悩んでいるのか、家庭と学級、ではない場所を持つことで、その子に適した支援を模索し、学校に行ってもいいと思えるように寄り添うことができるようになったとのことでした。
従来からある学校の外の居場所を選ぶ子は、なかなか学校には行こうと思えない状況なのではないかと思いますが、学校には行きたいけど、教室にはいられないという状況の子には新たな選択肢になります。
会計年度任用職員を採用して支援にあたるそうですが、事前の研修の中で、子どもの支援に関することだけではなく、公務員の役割、担当する学校の風土なども理解してもらい、現場で教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとも連携が取れるようにしているそうです。
このような取組は学校の当たり前を見直し風土を変えていくためにも、先生の働き方改革にも必要で、子どもたちの学びを保障するために学校ができること、学校でできることを手厚くしていく良い取組だと思いました。 那覇市では教育相談室を配置し、限られた時間ではありますが教室へ行けない児童生徒の支援を行っています。また、沖縄県からの委託事業である校内自立支援教室が拡充の方向で進められていますので、きめ細やかな対応が可能になる校内居場所(別室)対応指導の取組を参考に、学びの保障につなげていけるようにしていきたいです。
居場所は複数、多層的に学校にも、学校外にもあるのがいいですね。
そして、教育センターに併設されている文京区青少年プラザb-lab(ビーラボ)も見せていただきました。昨年の視察からユースセンターを見たいと要望を出していましたので委員会として視察できてよかったです。議会内でユースセンターの理解が深まることで市の取組を後押しする力が強まります。一人の意見より委員会の意見。
b-labは、主に中学生と高校生を対象に自主的な活動の場及び交流の場を提供することにより青少年の自立性と社会性を育むための施設です。 談話スペースをはじめ、音楽やダンスの練習にも使えるホールや音楽スタジオ、スポーツができる軽運動室や屋外のプレイヤード、研修室などやる気があってもなくても、わいわいともひっそりとも過ごせるスペースになっています。
その活動には3つの柱があり 居場所・きっかけ・ステージを届けると表現されていました。
ホームページを見ていただければわかるかと思うのですがとにかく楽しそうです。 その雰囲気に温かみやもう少しの「ゆるさ」を加えたような空間でした。
事業としては 文化・スポーツ事業・・・中高生が興味を持つような分野の講座や講演会 学習支援事業・・・各種講座や学習支援イベント、自習のサポート 広報紙の作成・・・①中高生向け広報誌「Cha-Cha-Cha」を年2回発行 ②中高生向けのイベント告知「b-labたより」を毎月発行 ③区内中学・高等学校等の教職員向け広報「b-lab通信」を隔月発行 その他・・・利用者会議・地域交流事業(中高生企画)等 をしているそうです。
b-labでは年間約240本ものイベントが実施されているそうで、しかもその中の40本ほどが中高生によって企画されたものなのだそうです。
館長のお話では、ユースの支援について ユースは大人と比べて「ゆらぎやすい」年代であり、ゆらぎやすい環境にいきていると考えている。周りからの評価に一喜一憂したり、人間関係に悩んだりすることも多いからこそ、ユースのゆらぎに寄り添う存在が大事なのだ。
また、ユースはこれから先のさまざまな出会いによって「どんな自分にもなれる」可能性があるので、自分の知らなかった一面に気付き、自らについて捉え直すこともできる。だからこそ、枠にはめることなく、ユース一人ひとりの可能性を感じる存在が必要である。と話されていました。
今回改めて強く感じたことは、ユースセンターはスペースを作ることだけでは不足で、ユースワーカーの関わりが欠かせないということです。
中高生の支援をするうえで大事な存在としてb-labに半年の期限付きで関わる学生スタッフが15名ほどいるそうで、彼らのナナメの関係が中高生にとってちょうどよい距離感で話しやすいのだそうです。 (横の友達、縦の先生・親世代と違い、ちょっと年上の親身になって話を聞いてくれるような関係がナナメの関係ということみたい)
施設の事業を受託している認定NPO法人カタリバが開館から10年関わり続けているそうですが、カタリバが大事にしている「ナナメの関係」がユースセンターにも生かされているわけですね。
(https://www.katariba.or.jp/outline/strength/)
b-labでは利用者にボードゲームやニンテンドーswitchの貸し出しもしているのですが、ちょうど利用のルールについて見直しの議論をしているそうで、ユースの声が運営に反映されて、寄り添い、信じる関係が実践がされていると感じました。
那覇市の公共施設としては津波避難ビルの3階にある「わいわい広場」
(https://www.city.naha.okinawa.jp/child/education/kyouikuikuseika/kouryuu/seisyonenkoryusuishi.html)
が近い機能を持っていますが、肝心のユースワーカーがいません。
那覇市では子どもの貧困対策の文脈で「居場所」の導入が進みましたが、経済状況に関 わらず「ゆらぎやすい存在」であるユースには寄り添い、声を受け止め、背中を押す存在が必要です。カタリバではユースワーカーの研修も行っているそうですので、那覇の公共施設でもユースワーカー配置したいですね。