教育福祉常任委員会視察2日目の午後は東京都荒川区に位置する「ゆいの森あらかわ」を視察しました。
「ゆいの森あらかわ」は、2017年に開館。館内は荒川区の中央図書館として、約60万冊の蔵書を誇り、地域住民が気軽に訪れることができる居心地の良い空間として設計されています。
入り口付近にはカフェとミュージアムショップがあり、なんだか賑やかでワクワクする雰囲気です。1階の中央には、階段状になったガラス張りのホールがあり、その両サイドには破損などで読めなくなった絵本が展示され、本に興味が持てるような見せ方をされていました。音楽の演奏会もできるほどの防音機をもち、イベントなどがないときは読書スペースとして開かれており、施設の性格を表す象徴的な空間になっていました。 空間の作りとしては、中心から外側に向かって静かになる工夫がされており、交流を兼ねた過ごし方をしたい人と、静かに過ごしたい人とが共存できるような作りになっていました。
ゆいの森には「吉村昭記念館」が併設されています。この記念館は、荒川区出身の作家である吉村氏の生涯や業績の紹介が展示されています。吉村昭氏の書斎の家具をそのまま使用した空間が特徴で、椅子に腰かけて思案してみることもできます。直筆原稿などの貴重な資料が展示されており、創作の舞台裏を垣間見ることができます。
「遊びラウンジ」は、未就学児を対象にしたスペースで、保護者が施設を利用しているあいだの一時預かりのほか、読み聞かせや保護者向けの講座も定期的に実施されているそうです。
建物は免震構造が採用され、防災倉庫や発電機も備えられているため、災害時には乳児や妊産婦を対象とした二次避難所としても活用できるそうです。温かみのある内装と、多くの座席が用意され、利用者が快適に過ごせる環境を提供していました。
運用上の特徴としては、単に複数の機能を持つ「複合施設」ではなく、それぞれの機能が相互に作用し、新たな価値を生み出す「融合施設」であるということに尽きると思いました。図書館と記念館、子どもひろばが相互に連携している背景には、施設の縦割りを解消するために館の運営を担当する横断的な課を新設したという大きな政治判断があったそうです。命令系統が一つだと、担当事務が幅広くても一つの目的のために動けそうですよね。
那覇市が計画中の新真和志複合施設を考えると、「ゆいの森あらかわ」のように複数の機能が融合し、同じところを向いて連携できる運営体制を取ることが重要だと感じました。図書館には、親子で利用できる空間を設けることで、幅広い世代が利用する施設になりそうだと感じました。