応援する!
視察3日目 新宿区 公契約について

歴史を感じる立派な区役所

説明してくださった総務部契約管財課の木内課長と

新宿区の話の前に公契約について説明しますね。 役所と民間の事業者が仕事をするときには、市がお願いしたい 仕事の内容を提示して入札で金額の安いところに発注するものや 任意の事業者と契約する随意契約などいろんな形があります。

税金ですから費用は押さえたいけど、手抜きしてもらっては困る。 とはいえ、同じ品質でもっと安く!というのをむやみに求めると 事業者に無理をさせる結果となり、市の経済に貢献するはずが 事業者は「市の仕事を受ければ受けるほど赤字になる」ということにもなりかねません。

例えばお願いしたい仕事の内容が特殊なものであれば競合する会社は 少ないので、価格を安くしなくてもそれなりに仕事を受注できますが、 どの会社でもできると思われている仕事では他社と差別化が難しく、 過剰な値引き勝負になってしまうことが多いわけです。

例えば「目玉焼きをつくる」という依頼だったとして、

どの卵を使うのか、どうやって作るのか(薪を拾ってきて火をおこして つくるのか、コンロがあってすぐに火がつけられるのか)、何人で つくるのか、などいろんな要素があります。

会社の利益を増やそうとすれば、安い材料を探してきたり、 効率のよい機械を導入して手間を省いたり、より少ない人数で より安く働いてもらったりして原価を下げます。

そうなると、成果物の見た目は一緒でも、味は落ちるでしょうし、 現場で働く人の労働環境が過酷になります。

もちろん、味を落とさないように同じ卵でも大量に仕入れることで 単価を下げたり、買わずに自社で育てた同じくらい良い卵を使う、 といった工夫や、少ない人数で確実な仕事ができるように機械化、 マニュアル化して負担を重くせずに人件費を削ることができる 事業者もあるわけです。

仕事を発注する市も、受ける事業者も、そこで働く従業員の方も みんなにとって良いと思える形で仕事をお願いしたいわけですよ。 ではどういう形で契約するのがいいのか、というルールを検討する 必要があるのです。

それが全国的にも大きな動きになっていて「条例」という形で しっかりとルールを定める自治体が増えています。

那覇市もそういう条例が必要なのではないか、という話があり 実際に条例を制定しているところを見たい!

と、思ったのですが、条例ではなく「指針」つまり考え方として 示すにとどめるところもあり、那覇にとってはどういうのが理想なのか まずは勉強してみよう、ということで新宿区です。

あぁ、導入だけで一時間以上かかってしまった。 ご安心ください、あとは細かい話はほとんどありません。

さて、新宿区では、条例ではなく「指針」として 入札契約制度を見直しています。

これは「条例」にすると、状況に合わせてルールの細かいところまでを 変更することが難しく(条例を変えるには議会の決定が必要です) 結果、様々な仕様が想定される細かい事業ではなく、 ある程度共通点がある建造などの大きな規模の事業に対して のルールにとどまると懸念されるということでした。

また、「指針」で示すことで、契約の際にはこの考え方に基づいて仕様が つくられ契約がされるので、実効性は担保されると考えるということです。

つまり、仕事を受けたい事業者に対して効力がある約束になっていれば 条例である必要は特にないと考えている、ということでした。

そうですよね。とても実践的で、現実的な考え方だと思いました。

細かい内容はこちらにありますが 私が面白いと思ったのは総合評価方式という ”点数制”で事業者を選定する際に「ワークライフバランス」 ができている会社や「環境ISO」を取得している会社は ポイントが加算されるというものです。

そういうふうに「大事にしたいこと」を打ち出すことで、それを大事にできる 事業者を応援できるわけですから、とてもいいと思いました。

那覇市が今後どういう形で公契約の改革を進めていくのかは まだ不透明ですが、建設常任委員会や議員有志の勉強会などで 活発に議論されていくことになりそうです。 日付変わってけっこう時間が経ってしまいました。

きょうのおまけは、そのあとに見学した都庁の食堂の天津飯 1万人の方が勤務しているということで、ちょっとした街ですよね。 食堂も広くてお昼時間を外して行っても結構にぎわっていました。

navigate_before
視察2日目 墨田区 食育推進計画について
navigate_next
視察4日目 岡山市 地域協働学校について