朝から墨田区へ移動。
区役所の15階が議会事務局ということで挙がってみると、まず景色にびっくり。 とりあえず撮っておきました(笑)
さて、まずは中小企業振興基本条例と商店街の活性化について 産業観光部産業経済課の課長から説明を受けました。
那覇市も中小企業振興条例を制定したのですが(条例の中身はこちら)条例をつくった後に それをどう現実の支援に活かしていくか、ということが課題なのです。
墨田区は全国に先駆けて1979年に中小企業振興基本条例を制定しています。 全国からひっきりなしに条例の勉強に視察がくるとのことで、 私たちもそのうちの一つなのですが、最初におっしゃったことは 「墨田区は、墨田区に住みながら中小企業零細企業で働く人が9割の状態 であったから、墨田区民に対する施策は、すなわち中小企業振興だった」 という趣旨のことでした。
ものづくり、つまり製造業のまちであった墨田区で、高度経済成長と共に 企業の事業が拡大し、中小企業が区外へ出ていく事態は区の死活問題だったわけです。 それでものすごく高い優先順位で進めることができた(そうせざるを得ない状況だった)ということなので那覇とは産業構造が大きく違うことも含め、中小企業振興に限らない一段抽象的な「まちづくり」の例として話を聞きました。
ものづくりの街であるという自負がすごいし、 実際に日本のものづくりの歴史の多くが墨田区に関わりがあるなど 歴史に裏打ちされた素地、広い意味で「文化」があるなと感じました。
支援策ひとつとっても、創業支援ではなく後継者(二代目、三代目)育成 の経営者塾を10年行っているんです。(フロンティアすみだ塾) この事業により、後継者が経営者として成長したことはもちろん 卒業生同志がつながり合い「自分たちの墨田を盛り上げるんだ」という動きに なっているということでした。 行政職員の方がとても情熱をもって、なおかつ調査をしっかりして 効果的な支援につなげようとしているのが伝わりますよね。
助成金のプログラムがいくらあっても「やろう」という気がある 事業者がいなければ支援はうまくいかない。
区役所での説明の後、実際に中小企業家の方にお会いしてお話を聞くことで 行政と地域の連携の成功例を見せていただきました。 こちら片岡屏風店。こちらの代表取取締役片岡恭一さんにお話を聞くことができました。
Museum(小さな博物館) Meister(すみだマイスター) Manufacturing shop(工房ショップ) のアタマをとって3M運動という名前で1985年から展開しており(詳しくはこちら) 片岡さんも工場の改装をきっかけに屏風博物館をつくってみませんかと行政職員から 誘われたところから活動に参加したとのことでした。
墨田区は製造業が多いので片岡さんのように専門の「技」を持った職人が多く すみだマイスターとして登録して、マイスター同士の交流事業で新商品開発の コンテストを行ったり、合同で展示会即売会を行ったりしてきたとのこと。
スカイツリーができたから急に観光チックなことをするのではなく ずっと、ものづくりの街として生き残る道を模索し続けているわけです。
そこへスカイツリーができて、スカイツリーを見た後に周囲を歩くと お土産ではなく、製造業の「本物」がある。それが魅力だということでした。
商店街については、製造業とは勝手が違い小売りでは旧態依然とした業態 のお店が多く、スカイツリーを商機につなげられるところとそうでないところの 差があるとのことでした。
年間5000万人が訪れたスカイツリー(沖縄の観光客10年分くらいですよ) その人の流れをどう捕まえるか。自分たちの独自性を打ち出せるかが 分かれ道であるということなのでしょう。
片岡さんにはその他に屏風についてもいろいろ教わりましたが(割愛) とにかく向上心と事業に対する緊張感を持っている方でした。 そういう熱心な企業家を育てられることが何より大変ですが そういう「人づくり」そして人をつなげる「つながり」づくりが大事だということを 教えていただきました。
那覇ではどうするか。まずは調査ですかね。 サービス業が多いし、沖縄のほとんどが中小企業であり 中小企業のすべてを支援すると決めても、何も絞れないんですよ。 どんな業種で、どこに住見ながら那覇に勤めているのか、 従業員数や業態といった現状把握から、狙いを絞って支援策に乗り出すことが必要だと思います。
墨田区では、行政職員が熱く関わるだけでなく実際に多くの予算を投じながら 支援をしていますが、那覇でそれをすぐにできるとは考えにくいです。 長期的な視点で、那覇の中小企業をどうしていくのか、 そもそも「那覇の中小企業」がどんな幅をもっているのか、何を優先する 必要があるのか、大きな「中小企業」という枠をもっと細かく見て 必要な支援策を探すことが大事なのだと考えています。
あ、食育推進計画については後ほど!