質問内容
- 教育行政について。
一般質問の動画はこちらからご覧下さい。
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ハイサイ、グスーヨー チューウガナビラ(皆さん、こんにちは)。無所属の会、中村圭介でございます。
本日は一般質問、教育行政について質問いたします。
質問に入る前に、一言お礼を申し上げます。
先の6月定例会で提案しましたパブリックコメント(市民意見提出制度)の26年度後半と27年度の予定表が公開されました。
迅速な連携と対応、ありがとうございます。
これにより市民は、市民意見の募集が開始される前から募集の存在を気にかけ、人によっては意見を準備する時間をとることができるようになりました。
市民参画の重要な一歩であると確信しております。
今後のますますの充実、特に現状ではこの予定表をホームページで探すのが、あるとわかっていてもなかなか困難なところがありますので、活用しやすいように工夫を継続していただきたいと思います。
では通告に従いまして、質問してまいります。
不登校支援として、教育委員会で行われているきら星学級について質問いたします。
(1)事業の概要、目的、対象、予算、職員数、実績と支援内容(プログラム、平均的な支援期間、時間)と次年度の計画について、説明を求めます。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
ご質問にお答えいたします。
きら星学級は、遊び非行傾向の不登校などで、学校外での指導や相談を必要とする児童生徒を対象に日中の居場所を確保し、学校や社会への適応促進及び将来の社会的自立に向けた支援を行うことを目的に設置しております。
平成26年度当初予算は、1,024万7,000円となっております。
また、きら星学級には、学級担任、そして直接児童生徒の支援にかかわる支援員が5人配置されており、臨床心理士や指導主事などの職員がバックアップし、学校や関係機関とも連携・調整を図り、児童生徒の学校復帰に向けて支援しております。
平成25年度の実績といたしましては、33人の児童生徒を支援し、全員が登校復帰いたしました。
次に、きら星学級の支援内容につきましては、自然体験活動や奉仕活動、スポーツ活動、学習支援などがあります。
支援期間は1回3時間を基本とし、約1カ月間の支援をめどに登校復帰につないでおります。
最後に、次年度の計画については、さらなる支援の充実に向けて現在、関係部署と協議しているところでございます。
■中村圭介
ご答弁ありがとうございます。
予算の件で1点確認なのですが、このきら星学級は一括交付金を活用しての事業でしょうか。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
はい、そのように活用しております。
■中村圭介
ありがとうございます。
主に遊び非行系の不登校の生徒などを対象にしている事業であるということ、また調理実習やスポーツ、農作業などを通して自己肯定感を高めて意欲を引き出すプログラムなどもあり、長くても2カ月ぐらいでは学校へ戻れるように支援する事業であることなどがわかりました。
ただいまの答弁で見えてこなかった数字では表しにくい効果についても理解しておきたく、質問いたします。
支援を通して子どもたちにどのような変化があったのか、具体的なエピソードがあれば教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
お答えいたします。
きら星学級の支援の具体的なエピソードとして、調理実習が挙げられます。
メニュー選びから生徒と職員が一緒に考え、できあがった料理を学級担任や学校長が試食し、褒めることで認められた喜びを感じ、それが自信につながっております。
また、登校復帰した際の児童生徒と学級担任との関係性がスムーズに構築できております。
■中村圭介
ありがとうございます。
生徒にとっても、自分と向き合ってくださる先生の存在というのはうれしいものだと推察いたします。
私も小学校のときから職員室に先生に会いに行く生徒でしたので、そのうれしさは察するに余りあるものがあります。
とてもすばらしい事業だと思いますし、次年度も拡充していく予定であるということですので、引き続き頑張っていただきたいと思います。
さて、不登校の児童生徒は遊び非行系ではない場合もあります。その対応について質問いたします。
(2)心理的・情緒的理由で不登校になった児童生徒の受け入れ体制について、どうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
お答えいたします。
教育委員会では、心理的・情緒的理由で不登校になった児童生徒の受け入れ体制として、まず、さまざまな体験活動を通して支援を行う適応指導教室「あけもどろ学級」事業を行っております。
また、臨床心理士や指導主事などで児童生徒、保護者に対し、電話や来所による相談・支援を行うメンタルヘルスカウンセリング事業がございます。
そして学習の進捗状況に課題を抱えている児童生徒や高校受験を希望している生徒には学習支援事業「学習支援室てぃんばう」を開室しております。
さらに、市内全小中学校に教育相談支援員を配置して不登校、または不登校傾向にある児童生徒に寄り添い支援する教育相談支援事業を行っております。以上です。
■中村圭介
ありがとうございます。
つまり、生徒は臨床心理士のアセスメント、児童の状況の見極めを経て、きら星学級やあけもどろ教室へつなぐと。
そして要望によってはメンタルヘルスの支援や学習支援のてぃんばうなども利用でき、さまざまな受け皿があると。
これらを教育相談課を窓口として一体的な支援を行っているという理解でよろしいでしょうか。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
お答えいたします。
おっしゃるとおりでございます。教育委員会では不登校についてさまざまな支援を行っておりまして、先ほど申し上げましたけれども、遊び非行傾向の生徒にはきら星学級、心理的・情緒的理由の生徒にはあけもどろ学級、そのほか臨床心理士が行うメンタルヘルスカウンセリング事業、学習支援を行うてぃんばう、そして学校内で児童生徒に寄り添う教育相談支援などの事業を行っております。
■中村圭介
ありがとうございます。
こうした支援事業が充実している背景には、支援を必要とする多くの不登校になってしまった児童生徒の姿があります。
そこで(3)の質問です。那覇市内の不登校の児童生徒の人数は、小学校、中学校、それぞれ何人でしょうか、お伺いいたします。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
お答えいたします。
本市における平成25年度の不登校児童生徒の人数は、小学校で105人、中学校で339人となっております。
■中村圭介
ありがとうございます。
25年度で小学校で105人、中学校で339人ということで、合わせて444人の子どもたちが不登校に陥っていることがわかりました。
では、再質問いたします。
不登校の児童生徒444人中、何人がきら星学級やあけもどろ学級などの教育相談課の支援につながったのかお伺いいたします。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
お答えいたします。
小中学校合わせて444人の不登校児童生徒のうち、225人の児童生徒が教育相談課へ来所し、支援につながっております。
■中村圭介
ありがとうございます。
225人ということですので、残り半数以上おります。実に半数以上が支援につながっていない状況だということがわかります。
では、中学校339人の中できら星学級が主に対象としている遊び非行系の不登校の生徒は何人で、そのうち支援につながったのは何人でしょうか。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
お答えいたします。
中学校339人の不登校生徒のうち、111人が遊び非行傾向の生徒となっております。そのうち30人がきら星学級の支援につながっております。
■中村圭介
ありがとうございます。
中学校の不登校の中で遊び非行系の生徒111人に対し、30人が支援につながっており、81人はつながっていないことがわかりました。
この数字からも不登校児童生徒の中で支援までつなげられる生徒の数というのはまだ多くはなく、不登校児童生徒の支援はまだまだ困難な状況にあることが伺えます。
1人でも多くの生徒が再び学校へ通えるように、さらなる支援に力を入れていただきたいと思います。
では、4つ目の質問です。さまざまな支援をするためには、すべて自前でそろえることは難しく、また協働によるまちづくりの観点からも市民と一緒になって子どもたちを支えていくことは重要と考えていますので、次の点をお伺いいたします。
(4)支援の他部署や外部との連携について、状況を教えてください。
●田端一正 教育委員会学校教育部長
お答えいたします。
本市の課題であります不登校児童生徒の支援のためには、他部局や外部機関と連携することがとても大切なことだと考えております。
他部署との連携につきましては、本市子育て支援室を中心に、児童相談所や法務局、警察などで構成される要保護児童対策地域協議会において、不登校児童生徒の支援に向けて情報を共有し、それぞれの部署でできる対応策を確認しながら連携を図っております。
また、外部との連携につきましては、きら星学級の支援内容であります体験活動や職場見学、職場体験などで16の事業所や公的機関、地域の方々と連携し、児童生徒の社会的自立に向けた支援を行っております。以上です。
■中村圭介
ありがとうございました。
子どもたちの社会性を育てる意味でも、多くの大人と関わり、学業以外の点で自分を見つめることで、将来について考える契機になるかもしれません。
積極的に外部との連携を深めていっていただきたいと思います。
私も先日、実際にきら星学級、あけもどろ教室、そして読谷にあります畑のほうまで職員の方に案内していただき、見学してまいりました。
畑は非常に伸び伸びとしたところで、そのときはあけもどろ教室の子どもたちが一生懸命ジャガイモを植えておりました。
先生、生徒一緒になって声をかけ合いながら作業している様子が印象的でいい関係がつくれていると感じました。
その様子を見た際に、職員の方が「生徒の皆さん、普通の生徒さんと何も変わらないでしょう、不登校というのはつまずきであって、だれにでも起こり得ることです。
しっかりした支援ができれば大丈夫なんです」ということの趣旨の発言をされていたことが印象に残っております。
それから、他部署との連携については、教育委員会だけではなくて、子育て応援課が事務局となっている児童虐待防止に向けた協議会の活動などは評価できるものであります。
また、居場所づくり事業や学習支援の事業を行っている福祉部、子育てに関するこどもみらい部、協働によるまちづくりの点では市民文化部、中学、高校卒業後に目を向けますと、就労支援については経済観光部などとも連携していくことは重要だというふうに考えます。
長い目で見ると、子育て支援から始まり、不登校支援のような学習支援、また生活支援、就労支援やひきこもり等の状態にある方へ対しての社会参加支援など、切れ目ない支援ができるように、それぞれの分野が協働して力を入れていただき、支援の網の目を細かくし、こぼれる子どもが少なくなるように一層努力していただきたいと思います。
という状況で、先日の我如古一郎議員の代表質問、平良識子議員の一般質問でも取り上げられておりました福祉部の保護管理課の子どもの居場所づくり事業の継続が不透明であるということが、この支援の網の目を大きくすることにつながると懸念しております。
網の目が大きくなると、網の目からこぼれる、つまり支援を受けられなくなる生徒が増えるという懸念です。居場所づくり事業を終了し、対象を拡大して継続を検討しているということではありますが、先ほど来、見てまいりましたように、現状で半分以上の不登校の児童生徒が教育委員会の支援につなげられていないという状況です。拡大によってすべての生徒に支援ができるかというと、一気に倍以上のアプローチ、それも多様なケースに対応するのはすぐにできることではありません。
居場所づくり事業は、福祉の観点から生活保護世帯の不登校の児童生徒に支援を行う事業です。貧困の問題とも深く関係する子どもの孤立化に福祉の視点から立ち上がった事業であり、全国的にも注目されるモデルケースともなり得る事業です。
32万人が高い密度で住む那覇で、社会とのつながりをほとんど持てずに家にこもる子どもたちがいるのです。306世帯の生活保護世帯に対し、49人の不登校の児童生徒がおり、16人を事業所での支援につなげ、そのうち15人が継続支援や進学、就職、総合青少年課への引き継ぎにつなげられたことは非常に大きな成果です。
というのも、この事業の対象者は教育の観点からでは、支援の拡充を何度も続けたその先に、ようやく見えてくる存在であると考えられるためです。
居場所づくり事業の対象となる子どもたちは、児童自立支援員の家庭訪問、アウトリーチから始まります。
学校に行けない状況が常態化し、学校では現状の把握が難しい場合がほとんどです。学校に来ない、親に会えないなど接点がつくれないわけです。学校生活や友人関係でのつまずきという言葉では表せない、とても根の深いケースです。
支援員は何度も足を運び、コミュニケーションをとるための信頼関係の構築に力を注ぎます。半年でも1年でも根気強く通い、ドア越しの手紙の一方通行がやがて双方向でのやりとりになり、子どもの信頼を得てはじめて会話を交わすところへたどり着くそうです。
それでも、体調や支援の拒否などによって再びうちにこもってしまうこともままあり、一進一退の状況の中で少しずつでも前へ進めるように支援を行います。
家族以外の人との会話が交わせるようになり、送迎も含めて事業所へつなぐと、そこでまた新たな関係構築が始まります。
この事業所の職員が支援員に代わりアウトリーチを行うことも多く、その信頼関係と一体した対応が事業所での居場所づくりの提供につながっております。
居場所は空間があれば達成されるわけではなく、みずからが居場所だと感じられることが必要です。そう感じられなければ、せっかく来てもすぐに帰ってしまいます。
この事業の難しさは、子どもたちの背景の複雑さにあります。
朝起きて、夜眠る。
ご飯を食べるなど習慣化していて見過ごしがちな生活にかかわるさまざまな前提が共有できていないところから始まるのです。
これは育った家庭環境によるところが大きく、事業所での食育やさまざまな生活支援的なプログラムを通して、新たに獲得していく過程を経なければなりません。
さまざまな理由から親も含めて約束を守れない。極度の偏食により学校給食を食べることができないといった具合です。
折しも昨日、知念博議員から世界の会食についてお話がありましたが、まさに今まで食べてきたものが彼らの食べ物の概念なのです。
カップ麺やハンバーガーしか食べない子にとって、学校給食は奇異な食事となってしまうわけです。
学校へ通う前提としての社会性などを身につけるためには、半年、1年かけても粘り強く取り組む必要があり、学習支援や通級支援といった進学や学校へ戻るための直接的な支援に移行するまではかなり長い道のりと児童生徒一人一人に合わせたきめ細やかな支援が必要となります。
こうした支援は、教育の側面からではこれまでできなかった、届かなかったところへの支援がようやく事業化し、成果を上げられる体制をつくるところまできたわけです。
教育的な視点からの受け皿を大きくしても網の目からこぼれてきた子どもの受け皿をなくしてしまうことは危険です。
教育的な視点からも受け皿の拡充が必要なのは数字を見ても明らかですが、重層的な支援を担保することは今後ますます重要になります。
1つの受け皿ですべてを集約してサービスが行き渡るまで拡充を待つのではなく、多様なケースに対応できるように幾重にも支援の網の目を張ることが大事です。
その後、外部との連携なども視野に入れながら、十分な量を確保していくというのがめまぐるしく状況が変わる中で行政が果たすべき役割ではないでしょうか。
ここで市長の政治方針について振り返ります。
『子ども・未来・平和「ひと つなぐ まち」』をキーワードとし、その中のつなぐをさらに5つに分けて示したうちの5番目、未来へつなぐというスピーチが公式のホームページにありました。少し時間をいただいて読み上げます。
「今、私たちは未来に対して明確に責任を果たすときが来ました。人口減少、高齢社会、生産年齢人口の減少という現実の中で、国はいまだ明確な処方せんを示しきれていません。また、環境、経済、教育などの分野でも、これまで先送りしてきた課題に正面から向き合い、責任世代として私たちの子や孫、これから生まれてくる子どもたちに明るい未来をつないでいかなければなりません。
全国では『地方創生』が叫ばれています。地方が直面する構造的な問題に真正面から取り組み、若者が将来に夢や希望を持てる、魅力ある地方をつくりあげていくことが大きな目的です。これは日本という国の形を変えようという試みと言っても過言ではありません。しかし、その具体的な像は描けていません。だれもが手探りの状況です。そうであるなら思い切ってチャレンジする大きなチャンスでもあります」とあります。
子どもの居場所づくり事業は、これまで先送りされてきた課題に真正面から向き合い、困難な状況でも子どもたちに手を差し伸べ続け、ようやくその手を握り返してもらえた事業です。
市長、ようやくつながった子どもたちの手を今、放すのでしょうか。
市長の言葉をお借りすれば、子どもたちは未来の宝です。
私たちは未来に対して明確に責任を果たすときがきたのではないでしょうか。
以上、教育委員会の頑張りに敬意を表するとともに、福祉部における子どもの居場所づくり事業の継続を強く要請し、質問を終わります。
ありがとうございました。