建設前からこの図書館に関わってこられた館長の古瀬さんに お話しをお伺いしたところ、伊万里市の図書館の特徴は建設時に どんな場所を目指すのか目標を立てたことだとおっしゃっていました。
これは図書館に掲示された「図書館の自由に関する宣言」と 「伊万里市民図書館設置条例」の第1条です。 1条には「伊万里市は、すべての市民の知的自由を確保し、文化的 かつ民主的な地方自治の発展を促すため、自由で公平な資料と情報を 提供する生涯学習の拠点として、伊万里市民図書館を設置する」 とあります。
本を何冊貸したのかは重要ではなく、市民への平等な情報提供、調べもの のへの対応(レファレンス)に力を入れることで、市民文化を耕す施設である。 当然の使命としてそれを日々実践しているのは本当にすごい。
例えば本の特集コーナーも時事問題や月替わりで司書の方が 情報を提供していました。
何を知らせるべきかを考えて一目でわかるように棚に並べて発信する。 職員の側から能動的に市民に対して発信するというのは、図書館の 目的が共有されているからできることだと思いました。 調査研究への情報提供に力をいれたことで、図書館の中で本を書き 上げて出版された方もいるそうで、図書館の役割に対するイメージが 変わりました。 館内は音楽が流れており、リラックスして本が読める環境 家の書斎のように静かに集中できるスペースもありました。
また、図書館を支える「図書館フレンズいまり」という友の会も特徴です。 図書館を造る前から勉強会を重ね、行政と一緒になって理想の図書館 づくりを進めたあと、開館後も関わり続ける組織です。 市民のための図書館を造るのだから、市民が関わる。 行政といい緊張感を持って、切磋琢磨していくという立ち位置も 理想の図書館像を共有しているからできるのでしょうね。 市民発案で企画展示を行ったり、マルシェを開催したりしている というのは当事者としての参画意識が高いからできることですよね。 図書館フレンズいまり以外にも様々な市民グループが関わって おり、機能の充実や環境維持に貢献しているとのことでした。
那覇市も近い将来、中央図書館の建て替えが議論されること になると思いますが、その際に是非参考にするべき事例です。 図書館だけではなく、社会教育施設全般にいえることだと思います ので、計画段階からどんな施設をめざし、市民がどう関わっていくのか 共有できる目標を設定することから始められるようにしたいです。
ミッションを持った施設と、責任を持って遂行する人財。 情報公開だったり信頼できる関係をどうつくっていくのか。 協働の考え方が問われます。