さて、資料室も充実させねば。 去る12月16日に投開票だった第46回衆議院議員選挙も絡めて少し書いておきましょう。 衆議院議員選挙は「小選挙区」300人と「比例区」180人の2つの選び方で合計480人の議員が選ばれます。
この2つの選挙制度をどちらも独立した形で使うので「小選挙区比例代表並立制」と言われています。今回はこの言葉について説明しますね。
まず小選挙区ですが、全国を300の選挙区に分ける(区割り)のですが、まず各都道府県に1人は必要ですので47人。[]1
で、あとは選挙区ごとの人口が同じになるように配分します。なので人口によって都道府県選出の議員の数が違うんですね。
さて、その300に分けられた選挙区からは各1名しか当選できませんので僅差でも勝敗がはっきりしています。
ちなみに、市議会議員選挙のように票をたくさんとった人から当選していく方法が「大選挙区制」
区割りして選挙を行い、各選挙区から2名以上を選ぶ(例えば各都道府県から3~5名とか、そんな感じで)選挙方法が「中選挙区制」と呼ばれています。
小選挙区制は他の選挙制度に比べて白黒ハッキリする分、政権交代が起こりやすく、死票が多くなるという特徴があります。
例えば100人が住む選挙区で考えてみましょう。
4つの政党A、B、C、Dが議席を争っているとします。
党員の数はA党 40人 B党35人 C党15人 D党10人とします。
※当然それぞれの名前は架空のもの、かつ適当なものですので他意はありません。
これが中選挙区で5人が選ばれるとしたら
A党タナカさん 26票
B党サイトウさん19票
B党タカハシさん16票
A党スズキさん 14票
C党ヤマダさん 15票
-----------------当選ライン
D党キノシタさん10票
A党から2名 B党から2名 C党から1名が選ばれました。
中選挙区の特徴として少数政党でも代表者を送りだせるわけですね。(C党やったね!)
このうちD党に投票した10票が残念ながら死票(投票を議席に反映できなかった票)になってましいました。
さて、これを小選挙区で考えると、1人しか当選しないので
A党はリーダーのタナカさんに 40票
B党もリーダーのサイトウさんに 35票
C党はヤマダさん出馬するのか?A党の応援に回るのか、党の方針は決めずに自由投票か?
D党はB党の応援に回るそうなのでサイトウさんに10票
事実上一騎討ちですが、C党、D党の党員がどちらに票を入れるかによって結果が変わります。
タナカさんかな?サイトウさんかな?
こうした選挙制度では、勝てる見込みがある政党からの立候補が多くなるので勝てそうにないC党やD党は人気が出にくく
A党とB党のような大きな政党による二大政党政治になりやすいのです。
2つの政党から選ぶのであれば現状に対してのYESかNOなので、政権交代が起こりやすい状態になりますね。
さて選挙の結果は、まぁC党ヤマダさんが出馬を決意してしまい、B党サイトウさんが勝ったとしましょう。
そうするとサイトウさんに投票された45票以外の55票が死票になってしまいました。
仮にヤマダさんが出馬を取りやめてC党がA党の応援に回ったとしても、A党55対B党45で45票もの死票がでてしまいます。
ということで、小選挙区制は他の選挙制度に比べて、政権交代が起こりやすく、死票が多いのが特徴です。
今回の衆議院選挙では民主から自民へといった感じで、前回の民主圧勝から自民の圧勝へと変わり、政権交代が起きました。
そして今回の選挙の小選挙区では死票は56%だったそうで、半分以上の投票が議席に結びつかない結果になりました。
まずい、長くなってしまいましたね。比例についてはさらっと(笑)
比例区は全国を11の区(ブロック)に分けて議席を割り振り、
そのエリアの中で政党の獲得票数に合わせて議席を配分します。なので政党名を書いて投票します。
比例選挙は、ブロックから何名、というかたちなので小さな政党にもチャンスがあります。
しかし小政党が乱立する恐れがあり、政局が安定しにくいというデメリットもあります。
比例代表では、各政党が獲得した票に応じて議席を振り分けます。誰から当選させるか政党の中で優先順位を付けており、
その順番で当選していく(拘束名簿式と言います)ので自分の応援している人の順位が下の方だと当選する確率はそれだけ低くなります。
小選挙区と比例代表の二つにエントリーして(重複立候補)小選挙区で敗れても比例で復活を狙う戦法は、議席獲得が見込める
範囲であれば可能になります。
重複立候補者は名簿の順位を同じにすることができます。例えば名簿の1位が5人とかです。
その場合は惜敗率(小選挙区での惜しかった順)で順番が決まります。
今回の選挙だと、日本維新の会が比例で躍進しましたね。
小選挙区では300のうち14(自民237、民主27)の議席を獲得したのに対し、比例では180のうち40(自民57、民主30)もの議席を獲得しています。
というわけで、長くなりましたが「小選挙区比例代表並立制」の説明でした。